水回りリフォームの種類と費用・価格の相場について

水回りリフォーム

キッチンや洗面所、トイレ、お風呂などのいわゆる「水回り」は、利用頻度が高いうえ水を扱うため湿度が高くなりがちで、家の中でも劣化が早く進むことが特徴です。

しかし水回りは設備交換を伴うため、どれくらいの費用がかかるか心配で、なかなかリフォームに踏み切れないご家庭も多いのではないでしょうか。

ここでは水回りリフォームの価格相場と、少しでもコストを下げる工夫を紹介します。水回りは劣化が進むと、家の構造にまで影響を与えてしまう場合もあります。そうなる前に、早めのリフォームを検討するようにしてください。

1. 水回りリフォームの最適なタイミングとは?

水回りリフォームの最適なタイミング

水回りの耐用年数は、一般的には10~20年といわれています。古くなってきても「まだ使える」と思っている間はそのまま使い続けてしまいがちですが、目に見えない配管や構造部分まで劣化が進んでしまった場合、リフォーム費用が高額になりがちです。そのため適切なタイミングでメンテナンスやリフォームをおこなうことが大切です。

水回りリフォームの最適なタイミングを、箇所ごとにまとめました。

場所 リフォームのタイミング
キッチン 蛇口から水が漏れる、排水口が詰まったり臭ったりする、
しつこい油汚れが取れない、換気扇やコンロに不具合がある
お風呂 浴槽やタイルがひび割れている、カビや汚れが取れない
洗面所 洗面ボウルがひび割れている、水栓が劣化している、床が傷んでいる
トイレ 便器がひび割れている、黄ばみや悪臭が取れない、新しい機能をつけたい

 

上記のように、設備に不備や不具合が発生したときにはリフォームを考えるタイミングです。水回りの不具合は、放置していると知らないうちに水漏れが発生して、構造や基礎にまで達する場合があるため、早めにリフォームするようにしてください。

また子どもが産まれた、高齢者と同居することになったなど、家族構成やライフスタイルに大きな変化があったときにリフォームを考えるご家庭も多くいらっしゃいます。親子でストレスなく入浴できるバスタブに取り替える、段差をなくしたり手すりをつけてバリアフリー対応にするなど、家族みんなが使いやすい家にするためのリフォームが人気です。

2. 水回りリフォームの費用・価格相場

水回りリフォームの費用・価格相場

水回りをリフォームするにはどれくらいの費用が発生するのか、工事費用の価格相場を紹介します。

① フルリフォーム(キッチン、お風呂、洗面所、トイレ)

水回りのリフォームには、工事費用と設備の費用がかかりますが、設備はグレードによって価格が大きく異なります。水回りをまとめてリフォームする場合には、125万~400万円程度が相場です。また今と同じ場所から別の場所に変更する場合には、給排水の配管工事も発生するためさらに高額になります。

② キッチンリフォーム

キッチンのリフォームは、システムキッチンのグレードや、キッチンタイプを変更するのかなど、工事内容によって費用は大きく異なります。50万~200万円程度を見込むようにしましょう。

③ お風呂リフォーム

お風呂場のリフォームも、今のお風呂がタイルなどが張られた在来浴室なのかユニットバスなのか、新しく入れるユニットバスはどれくらいのグレードのものにするのかによって費用が異なります。お風呂場のリフォームは、最低でも50万~200万円程度が目安です。

④ トイレリフォーム

トイレリフォームは、便器を取り替えるだけなのか、床や壁紙も張り替えるのかなど工事内容によって費用に差が出ます。おおよそ15万~100万円程度見積もるようにしましょう。

⑤ 洗面台リフォーム

洗面台リフォームは、洗面台のグレードによりますが、20万~50万円程度が目安です。

3. 水回りリフォームの施工事例と費用の目安

施工事例と費用の目安

ここからは水回りリフォームの、具体的な施工事例と費用の目安を紹介します。

① システムキッチンの交換

システムキッチンを新しいものに交換するだけのリフォームは、50万~100万円程度が目安です。費用の差のほとんどは、新しいシステムキッチンをどの程度のグレードにするかに左右されます。システムキッチン自体の費用は、安価なもので30万円程度からありますが、大理石の天板など高価なものでは200万円を超えるものもあります。そのため選ぶキッチンによっては、リフォームにかかる総額が高額になる場合もあるでしょう。

② 壁付けから対面式のキッチンへ

壁に向かって立つタイプの壁付けから対面式に変更するキッチンリフォームは、今とても人気があります。壁付けから対面式に変更する場合、給排水の配管工事を伴うため、システムキッチンをそのまま入れ替えるより高額になりがちです。配管工事の内容にもよりますが、55万~200万円程度見積もるようにしましょう。新しく入れるキッチンによっては、200万円を超える場合もあるため、工事費を含めた総予算でキッチンを選ぶのがおすすめです。

③ ユニットバスの交換

古いユニットバスを新しいものに入れ替える工事は、50万~150万円程度が目安です。ユニットバスのグレードや浴室の広さによっては、200万円以上かかる場合もあります。

④ タイル張りからユニットバスの浴室へ

タイル張りのお風呂をユニットバスに変更する工事は、ユニットバスの交換だけよりもやや高額になりがちです。費用は65万~150万円程度を見込むようにしましょう。ユニットバスに変更するのにあわせて浴室の移動や拡張工事をするなどで、給排水やガス工事も必要になる場合には、さらに費用がかさみます。

⑤ トイレの交換

トイレリフォームで、洋式から洋式への便器交換をする場合には、グレードによって3万~21万円と差があります。便器の交換にあわせ、壁や床材もリフォームするのであれば、使用する材料にもよりますが、14万~32万円程度を目安にしてください。

⑥ 和式から洋式のトイレへ

和式から洋式のトイレに変更する工事は、もともとの室内に段差があるケースがほとんどであるため、段差解消の工事も発生します。費用は約15万~57万円を見積もっておきましょう。

⑦ 洗面台の交換

既存の洗面台を新しいものに交換する工事は、洗面台のグレードによって10万~50万円程度が相場です。洗面所の壁や床をあわせてリフォームするのであれば、使用する素材にもよりますが20万~50万円を見込むようにしてください。

4. 水回りリフォームを安くするコツ

水回りリフォームでコストを抑えるコツ

ご紹介してきたとおり、水回りのリフォームは、少なくとも数十万円単位の費用が必要です。高額になりがちな水回りリフォームで、少しでもコストを抑えるコツを5つ紹介します。

① 設備のグレードを下げる

水回りリフォームの費用のうち、大部分を占めるのが設備(本体)の購入費です。キッチンにしてもトイレにしても、安価なものから高額なものまで、グレードによって大きな価格差があります。

たとえばトイレの場合、便器とシンク上に手洗い場のついた一番シンプルなものなら3万円程度から購入可能ですが、高機能なものだと60万円を超えるものもあります。システムキッチンについても、15万円程度のものから200万円を超えるものまで大きく差があります。

そのためリフォームのコストを下げるには、設備のグレードを下げる、できるだけシンプルな機能のものを選ぶのが一番効果的です。全体的な予算を決めて、工事費を差し引いたうえで設備を選ぶとよいでしょう。

② 旧型や展示品を活用してリフォーム

「設備にコストがかかることは分かったけれど、できればグレードは下げたくない、希望する機能は備えたい・・・」という方もいるのではないでしょうか。そのような場合には、同じシリーズでも最新型のものではなく、旧型のものを選ぶことで費用を抑えられる可能性もあります。

もしくは展示品を割引価格で購入できないか、メーカーや販売店に問い合わせてみるのもおすすめです。展示品はいわゆる新古品となり、使用されていないのに安価で購入できるため、一度交渉してみるのも手です。

③ 位置は動かさずにリフォーム

水回りのリフォームは、今の場所から移動しようと思うと、水道やガス、電気といった給排水管や配線の工事費が発生します。またトイレの場所自体を変えたいなど、スペースそのものを変えるようなリフォームは、部屋の増築や改築などさらに大がかりになるため費用がかさみます。

水回りリフォームの費用を抑えるためには、できるだけ今の位置から動かさないことがポイントです。予算が限られている場合は、動かすにしても、同じ部屋内で位置を変える程度に抑えるようにするとよいでしょう。

④ お風呂と洗面台は一緒にリフォーム

お風呂や洗面台は、まったく同じ場所に同じタイプの設備を入れ替える以外は、給排水管の工事が必要になります。そのためリフォームの目安時期が近い場合には、同時に工事をした方が、一度ですませられるためコストを抑えられます。

とくにタイルのお風呂をユニットバスに変更する場合には、お風呂と洗面所の間の壁を壊さなければならない場合がほとんどです。そのため一緒に工事をする方が効率的で、別々に工事をするよりも安くなることがほとんどです。

⑤ 同一メーカーをセットでチョイス

複数の水回りリフォームを検討している場合には、同じメーカーの設備を選ぶとお得な割引き価格で購入できる場合があります。割引きについては、時期や施工会社によって対応に差があるため、工事を依頼する業者に相談してみるのがおすすめです。

5. 水回りリフォームで使える補助金はある?

水回りリフォームで使える補助金

高額になりがちな水回りリフォームですが、工事の内容によっては国や自治体の補助金を利用できる場合があります。代表的な制度を2つ紹介します。

① 介護やバリアフリーリフォームを対象とした介護保険や自治体の補助金

とくに要介護者や要支援者のために、介護やバリアフリー対応を目的としてリフォームする場合には、介護保険の対象になり1人あたり生涯一律20万円支給されます。

介護保険の対象となる工事は、

  1. 手すりの取り付け
  2. 段差の解消
  3. 滑りの防止、スムーズな移動のための床材の変更
  4. 引き戸などへの扉の取り替え
  5. 洋式便器などへの便器の取り替えや便器の位置の変更など
  6. 1~5の工事に伴う壁や柱の改修

となっていますが、検討している水回りリフォーム工事のどこまでが介護保険の対象となるのかは専門家の判断になります。介護のためのリフォームを検討する場合には、制度に詳しい業者に相談するようにしてください。

なお自治体の補助金については、要介護認定がされていなくても、高齢者を対象として補助金を支給するケースもあるので、お住まいの地域の役所に問い合わせをしてみてください。

② 長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、長期にわたって良好な状態を維持するためにリフォームをする場合に活用できる制度です。制度が適用されるためには、事前にホームインスペクションをおこなって現状を把握し、リフォーム後には一定の住宅性能基準を満たす必要があります。

耐震性や劣化対策の基準を満たすことが必須とされているほか、省エネルギー性や維持管理、三世代同居対応、子育て世帯向け改修の3つのうちどれか1つ以上の条件を満たさなければなりません。

水回りに関しては、たとえば年老いた親と同居するための、キッチンやトイレのリフォームなどが対象となる可能性があります。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助額は、一戸につき100万円~250万円と額が大きく、「三世代同居対応」「若者(40歳未満)」「子育て世帯(18歳未満の子がいる)」に該当する場合には、さらに50万円が加算されるため、条件を満たすようなら積極的に活用しましょう。

事業への申し込みはリフォーム業者がおこなうことになっているので、制度に詳しい業者を選ぶことが最も重要になります。

6. まとめ

詳しい業者に依頼することがもっとも重要

水回りのリフォームは、できるだけ同時期に工事をまとめることと、適切な設備選びが費用を抑えるコツです。全体の予算を見極めたうえで設備を選ぶと、コストを抑えられるでしょう。

またケースによっては、補助金を活用できる場合もあります。補助金を活用するには、制度に詳しい業者に依頼することがもっとも重要なポイントです。業者を選ぶときには、補助金を活用したいことを伝えたうえで、対応可能かを確認するようにしてください。

大久保明彦

記事監修/大久保明彦(おおくぼあきひこ)

  • 株式会社レジェンドホーム 代表取締役
  • 宅地建物取引士

住まいで成功するには、注文住宅と不動産の2つの事業を柱にすることが必須と考え、建築と不動産の両方を強みとする事業を作り上げた。
「真実一路、全てはお客様の笑顔のために」をモットーに、創業以来、地域に密着した住まいづくりをしている。