はじめての不動産売却!不動産売却で成功する5つのポイント

はじめて土地や中古住宅を売却しようと思い立った際、
どのように不動産売却を進めればいいか分からないという方も多いですよね。
そこでここでは、不動産売却における手続きの流れはもちろん、売却を成功させるためのコツなどをまとめました。
さっそく、見ていきましょう。
目次
1. 不動産売却|手続きの流れ

不動産売却にかかる手続きの多くは不動産会社が中心となって進めてくれますが、
ご自身でもある程度、大まかな流れを知っておくことが大切です。
一般的に、不動産は次のような順序で売却手続きをおこなうことになります。
- 売却に向けて情報を整理し、相場を調べる
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 売却に向けて活動を開始する
- 決済と引き渡しを済ませる
- (売却した翌年に)確定申告をする
流れを念頭に置いたうえで、次に不動産売却のポイントや注意点についてご説明します。
2. 不動産売却はパートナー選びが大切

土地や中古住宅の売却では、多くの方が1円でもいいから高値で売りたいと考えるでしょう。
とはいえ、先ほどお伝えした不動産売却の流れや、媒介契約等の中身をあまり理解しないまま
不動産会社に仲介を依頼してしまうと、結果として思うようにならないケースが多くなります。
また、買主を見つけるのも、売却価格の交渉をするのも不動産会社であることから、パートナー選びが極めて重要となってきます。
そのため、大手と地元の不動産会社のそれぞれの特徴を掴んだうえで、信頼できる担当者に媒介を依頼するようにしましょう。
優秀な担当者を見極めるポイントとして、「対応スピード」と「知識」が挙げられます。
そのほかに、担当者とは思いのほか長いお付き合いになることもありますので、人としての「相性」も大切なポイントです。
3. 媒介契約は3種類|その違いとは?

不動産の売却にあたっては不動産会社に仲介を依頼するケースが一般的ですが、
その際に締結する「媒介契約」は次の3種類に分けられています。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの特徴や、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
① 一般媒介契約
「一般媒介契約」では、同時に複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。
また、不動産会社を介さずに自身で買い手を見つけることも可能です。
一度に複数の不動産会社に依頼できるため、売却したい土地や中古住宅の情報をより多くの人に届けられることに加え、
成約の可能性が高まる点がメリットだといえるでしょう。
ただし不動産会社からすると、一生懸命買い手を見つけようと努力をしたとしても、
他の不動産会社が買い手を見つけてしまえばその努力は無駄に終わってしまうことから、
販売活動にあまり力を入れなくなるケースがあります。
また、不動産業界全体のネットワークとして活用されるレインズ(指定流通機構)への登録が任意であることも、
買い手をスムーズに見つけるうえではデメリットとなるでしょう。
そして、一般媒介契約は「明示型」と「非明示型」のどちらかを選択することができます。
「明示型」は媒介契約時に他の不動産会社にも依頼しているかどうかを知らせる方法で、
「非明示型」はそれらを知らせない方法を指します。
非明示型にするとさらに不動産会社の士気が下がる恐れがあるので、特別な事情がない限りは明示型を選択するようにしましょう。
② 専任媒介契約
一般媒介契約と異なり、一社としか媒介契約を結べないのが「専任媒介契約」です。
(専任媒介契約の有効期限は3カ月)
とはいえ、自力で買い手を探して契約を締結することは認められており、レインズへの登録も義務付けられています。
一般媒介と違って不動産会社の士気が下がりにくく、熱心に売却活動をしてくれることに加え、
販売状況の報告を2週間に1回以上行わなければならないことから、依頼者側も安心して任せられる点がメリットといえるでしょう。
その反面、売買活動の進みが一社の不動産会社の力量頼みになってしまうことに加え、
業者間の競争が発生しないため、勢いやスピード感に物足りなさを感じてしまうかもしれません。
③ 専属専任媒介契約
「専属専任媒介契約」は、専任媒介契約と仕組みが似ていますが、
不動産会社を介さずに自力で買い手を見つける行為が禁止されています。
また、レインズへの登録が義務付けられているのはもちろん、1週間に1回以上は販売状況の報告をおこなわなければなりません。
4. 不動産売却を成功させるポイント5つ

冒頭で不動産売却の大まかな流れについてお伝えしましたが、ここでは不動産売却を成功させる5つのポイントをご紹介します。
① 相場を知っておく
不動産会社を探す前に、売ろうとしている不動産が実際どのぐらいで売れるのか、相場を調べてみましょう。
前述した「レインズ」は、残念ながら一般の方は閲覧ができないため、
ご自身で相場を調べる場合、近隣の似ている物件の取引価格を知ることができる「不動産ジャパン」や、
「土地総合情報システム」を活用することをおすすめします。
なお、似たような物件が実際に“今”いくらで売りに出されているかを調べる場合、
購入者向けの物件検索サイトで条件を入力したうえで検索してみるとよいでしょう。
自分で相場を調べて価格イメージを掴んでおくことは、不動産売却で失敗するのを防ぐことにも繋がります。
また、のちの取引をスムーズに進めるためにも、なぜその物件を売ろうと思ったのか、
どういった条件で売りに出したいのかを、今一度整理しておくことをおすすめします。
② 税金や手数料などの必要経費を把握しておく
不動産を売却する際に発生する税金や手数料には、次のようなものが挙げられます。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 登記費用
- 仲介手数料
- 引越手数料
- その他費用(測量費や解体費、廃棄物処分費など)
上記のうち、「印紙税」と「登録免許税」は不動産の売却時に必ず納めなければならない税金となり、
「譲渡所得税」は、不動産売却時に利益が発生した場合において納める必要があります。
ここでは、「印紙税」と「登録免許税」、「譲渡所得税」について詳しく見ていきましょう。
印紙税
不動産売却において契約書を交わす際、契約書の記載金額に応じて収入印紙を貼付する必要があります。
その貼付によって印紙税を納付したものとされ、記載金額別の印紙税額は次のとおりです。
記載金額 | 本則税額 | 軽減税額※ |
---|---|---|
500万円~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
※軽減税額は売却価格が10万円を超え、令和4年3月31日までに作成された契約書に対して適用される。
なお、収入印紙を貼付し忘れても契約そのものに影響を及ぼすことはありませんが、印紙税法違反となります。
その場合、本来の印紙税額+その2倍に相当する「過怠税」を支払わなければいけなくなるので注意しましょう。
登録免許税
登録免許税は、不動産を売却した際に行う名義変更(所有権移転に伴う不動産登記)に対して納める税金のことです。
登録免許税は登記の種類に応じて税額が異なり、不動産売買における税額は次のようになっています。
本則税率 | 軽減税率※ |
---|---|
固定資産税評価額×2% | 固定資産税評価額×1.5% |
※令和3年3月31日までの名義変更で発生した登録免許税につき、軽減税率が適用される。
譲渡所得税
不動産売却によって得た譲渡所得については、「所得税」と「住民税」が加算されます。
なお、不動産の譲渡所得は分離課税となるため、他の所得と分けて所得税額を算出しなければなりません。
まず、譲渡所得の算出方法ですが、次の計算式によって求められます。
譲渡所得=譲渡金額-取得費用-譲渡費用
計算式に登場する単語の意味も、あわせて押さえておきましょう。
- 譲渡金額:不動産の売却価格のこと
- 取得費:当該不動産の購入費、および購入にあたって支払った費用の総額
- 譲渡費用:売却にあたって支払った費用の総額(仲介手数料や印紙税など)
取得費のうち「建物の購入代金」や「建築費」については、築年数に応じて求められた減価償却相当額を差し引いて計算します。
また譲渡費用には、あくまで売却にあたって支払った費用が該当し、売却とは関係ないものを費用として計上することはできません。
そして、上記で求めた譲渡所得額に対して「所得税」と「住民税」が課されます。
この際、2037年までは東日本大震災の被災者支援を目的として「復興特別税」が徴収されます。
(復興所得税は、所得税額に2.1%を乗じた金額)
譲渡所得に対する税率は売却した不動産の所有年数に応じて、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分けられます。
具体的には、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで、以下のように税率が異なります。
- 短期譲渡所得(所有期間が5年以下):39.63%(所得税30%+復興所得税0.63%+住民税9%)
- 長期譲渡所得(所有期間が5年超):20.315%(所得税15%+復興所得税0.315%+住民税5%)
③ 査定は複数の不動産会社に依頼
中古住宅や土地など、不動産を売却するにあたってはまず不動産会社に査定をしてもらうことが必要です。
査定を依頼すると、各不動産会社が、
「あなたの住宅(土地)を当社で売却した場合、このぐらいの金額で売却することができます」といった査定額を掲示してきます。
その際、複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された内容を比較検討するようにしましょう。
そして、査定額を一通り把握することができたら、いよいよ仲介を依頼する不動産会社を決定します。
ここで仲介を依頼し、媒介契約を締結した不動産会社には、
売却が無事に完了するまでお世話になることから、慎重に判断することが大切です。
また、媒介契約を締結する不動産会社を選ぶ際、査定額が高いからといった理由のみで不動産会社を決めることは極力避けましょう。
ご自身で調べた売却相場額、ならびに他の不動産会社が提示した査定額よりも明らかに金額が高い場合、
結果として不動産が売れずに終わってしまう可能性があるからです。
そのため、査定額だけにとらわれることなく不動産会社との相性はもちろん、専門性の高さやノウハウの有無、
そして各種サポート体制がしっかり整っているかどうかもあわせて比較検討するようにしましょう。
④ 希望最低価格と時期を決めておく
中古住宅や土地を売りに出す際、できるだけ高く売りたいと考えるのは不思議なことではありませんが、
その際に希望最低価格と時期を決めておくことが大切です。
不動産の相場は常に変動しており、相場に振り回されて売却の機会を後ろ倒しにしていてはいつまでも取引が進みません。
そのため、このぐらいで売れたらいいなという価格を決めておき、
その価格よりも高く売れそうであればその時点で売却を前向きに検討するようにしましょう。
また、不動産を売り出す時期もとても重要です。
日本では年度の変わり目が4月であることに伴い、新学期や新年度が始まる4月よりも前に、
引っ越しを検討する人がほとんどでしょう。
そのため、1月~3月は比較的不動産売却の成約率が高く、
次いで10月前後も企業の異動時期とあって転勤による引っ越し需要が増え、買い手が比較的スムーズに見つかりやすいといえます。
⑤ 早く売りたい時は「買取」を検討
あまり一般的ではありませんが、不動産を売却するときの手段として「買取」があります。
不動産の買取とは、不動産買取業を行っている不動産会社に自身の不動産を直接買い取ってもらうことを指します。
そのため一般的な不動産売却と異なり、売主と買い取り業者の間で交渉が成立すれば、すぐに不動産を売却することができます。
見積もりを出してから1週間前後で売却が完了することが多く、
早く現金化したいと考えている方は一度検討してみてもよいかもしれません。
注意点として、仲介よりも売却価格が下がる傾向にあるので、その点もあわせて考えるようにしましょう。
5. 不動産売却をする場合の注意点

不動産売却の概要やコツについて理解したところで、次に不動産売却時の注意点をご紹介します。
① 登記内容と相違がないかを確認
登記の内容と、売ろうと思っている土地や中古住宅の情報が相違ないか前もって確認しておくようにしましょう。
増築部分が未登記、境界があいまいなどといったことに起因するトラブルは珍しいものではなく、
契約後に発覚すると、最悪の場合は契約破棄に至るケースもあります。
② 売主にとって不利な情報も伝える
不動産を売却する際に不利になりそうな情報(瑕疵)は、買い手には黙っておきたいと思われるかもしれません。
瑕疵が発覚すると信用を失うことはもちろん、「(瑕疵について)聞かれなかったから」という言い訳は通用しないことから、
トラブルに発展する恐れが高まります。
そのようなトラブルを回避するためにも、事前に買い手に対し、
当該不動産に対して把握している瑕疵をきちんと伝えるようにしてください。
③ 庭の手入れ・ハウスクリーニングは徹底
とくに中古住宅など建物を売りに出す場合、庭の手入れやハウスクリーニングは徹底しておくようにしましょう。
その際、目に見える汚れだけでなく、買い手がとくに気にする水回りなどはニオイ対策も肝心です。
また汚れの度合いにもよりますが、必要に応じてプロのハウスクリーニングに依頼することをおすすめします。
④ 引っ越し手続きは余裕をもって
新しい家へと引っ越す際、引っ越し手続きは余裕をもっておこなうようにしましょう。
とくに春は引っ越し業界の繁忙期に該当するため、「引き渡し日が決まったのに引っ越しができない!」という事態のないよう、
余裕をもって手続きをすませておくようにしてください。
6. まとめ

今回は、はじめて不動産売却を検討されている方を対象に、不動産売却の流れや成功するためのポイントについてお伝えしました。
良いパートナーを見つけることができなければ、売却活動をスムーズに進めることはできません。
不動産売却は、信頼のできる不動産会社、さらには信頼できる担当者にお願いするようにしましょう。
この記事が不動産売却をお考えの方に、少しでもお役に立てれば幸いです。

記事監修/
大久保明彦(おおくぼあきひこ)
- 株式会社レジェンドホーム 代表取締役
- 宅地建物取引士
住まいで成功するには、注文住宅と不動産の2つの事業を柱にすることが必須と考え、建築と不動産の両方を強みとする事業を作り上げた。
「真実一路、全てはお客様の笑顔のために」をモットーに、創業以来、地域に密着した住まいづくりをしている。